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おばけのケーキ屋さん(マイクロマガジン社)
さく:SAKAE
定価 1000円(税別)
全32ページ
読み聞かせおすすめ度 ☆☆☆☆☆
読みごたえ度 ☆☆☆☆絵(写真)のかわいらしさ ☆☆☆☆☆
子どもと一緒に楽しめる度 ☆☆☆☆
実際に読み聞かせした夫か私の評価【満点:☆5つ】
読むのにかかった時間 15分程度
イラスト コミュニケーションサービス【pixiv(ピクシブ)】で
話題となった物語が絵本となりました。
表紙のほのぼのとした感じ、
タイトルの「おばけのケーキ屋さん」
どちらからも、想像しにくいストーリーに
読者からも賛否両論ある絵本ですが、
今回もわが子たちは読み聞かせ後に
討論会を勝手に開催する、
わが家にとっては意義ある絵本となりました。
物語の登場人物は主に二人。
ケーキ屋さんを営むお化けの男性。
それから、幼い少女です。
おばけのケーキ屋さんは、
自作の世界一美味しいケーキを食べさせて
みんなをビックリさせるのが大好き。
ふつうの怖いお化けとは違う
ちょっと変わったお化けです。
そんなケーキ屋さんに女の子が来店。
今回も女の子にとびっきりのケーキで
びっくりさせてしまおうと企みます。
ところが、少女はケーキを食べると
びっくりすることなく、静かに
「おいしいけど、パパのつくるケーキと同じくらいかな」
とつぶやきます。
自分のケーキを世界一おいしいと自負しているお化け。
なんだか、少女の反応が悔しくて
これは負けてられないと女の子にこう言います。
「これから月にいちどケーキを食べにおいでよ」
ここから、毎月、お化けのケーキ屋に少女がやってきます。
しかし、どんなにおいしい違ったケーキを食べさせようとも
「おいしいけど、パパのつくるケーキと同じくらいかな」
としか言ってくれません。
それでも何度も何度も挑戦するお化け。
月日はあっという間に過ぎていきます。
そんなある日、突然少女が改まって現れます。
そして、うれしくも悲しいお知らせをおばけに打ち明けます。
少女は大人となり、結婚することになりました。
そして、このケーキ屋さんにはもう来れないことを告げます。
おばけが祝福しようとしたその時、
さらに、少女は自分がおばけの娘であることを告白します。
おばけは、驚きます。
そしておばけは翌日、結婚式が行われることを知るのです。
おばけは思いました。
娘の最高の晴れ舞台に
なんとしても自分の最高のケーキを届けたい。
そう思ったおばけは、
必死にウエディングケーキを作り、
届けます。
しかし、所詮はおばけ。
夜の世界の身。
太陽にあたるとおばけは消滅してしまいます。
それでも、娘のために、
朝日が昇るギリギリまでケーキを作り
必死に会場まで届けました。
ケーキは無事、娘の結婚式会場へ届きます。
娘はお父さんおばけのケーキが届いていることに驚きつつ、
大切なケーキを味わいます。
そして、娘はこうつぶやきました。
『おばけさんのつくるケーキは 世界一おいしいよ』
『だって わたしがいちばん大好きなケーキだもの!』
「ありがとう。わたし あなたに会えて とても幸せでした」
と伝えるのです。
自分の娘にケーキを作り続けたおばけ。
消滅を恐れず、娘の晴れ舞台へケーキを届けたおばけ。
滑稽で不細工な展開ではありますが
ストレートな温かい思いは伝わりました。
ところで、この絵本を読み聞かせしていると
子どもたちでも気づく疑問点があるようです。
「女の子はおばけをお父さんと知っていてこのケーキ屋さんへ来たのかな?」
「なぜ、おばけは女の子を見て、娘と気付かなかったのかな?」
どちらの疑問もなるほどなと私は感心しました。
そして、自分たちでいろいろと前後の話を想像しながら
「きっと前にケーキを食べた少女がお父さんだって気が付いて
確かめにこのケーキ屋さんへ来たんだよ」
「今よりだいぶ前に死んでしまったから
女の子のことに気が付かなかったんじゃない?」
と。
死を扱う絵本に慎重な声も上がる世の中ですが
私はあんまりタブー視せず
いろんな想像をしてほしいなと見守っています。
近くにいて、必要な時にフォローできればいいのかなと。
この絵本は、絵が現代的で印象に残ります。
様々なシリーズになっているの様なので
一度手に取ってみることをお勧めします。
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