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2018年12月15日土曜日

【あなたは海賊になったことがありますか?】こうしてぼくは海賊になった(児童図書館・絵本の部屋)【無力さを感じ、また少し成長する】

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こうしてぼくは海賊になった(児童図書館・絵本の部屋)


さく:メリンダ・ロング
え :デイビッド・シャノン
やく:小川 仁央


定価 1500円(税別) 

全44ページ

読み聞かせおすすめ度  ☆☆☆☆
読みごたえ度      ☆☆☆☆☆
絵(写真)のかわいらしさ ☆☆☆☆☆
子どもと一緒に楽しめる度 ☆☆☆☆☆

実際に読み聞かせした夫か私の評価【満点:☆5つ】

読むのにかかった時間 15分程度


~読み聞かせの感想~
きっと子どもたちは私たち親の知らないところで
驚くような体験をし
強く、大きく育っている。

そんなことを思わせる大胆な絵本です。

主人公のジェレミー・ジェイコブという名の少年は
家族と一緒に海水浴へとやってきました。

楽しい海水浴になるはずが、
お父さんもお母さんも小さな妹に手いっぱい。

少年は一人、浜で遊び始めます。

そんな両親の目を離したすきに
少年の目の前に現れたのは

「ザ・海賊」

絵からして、立派な海賊たち。
そのお頭に気に入られ、少年は海賊たちと旅へ出ます。

知らない船に乗り込むことへ不安はないのか
読み聞かせているこちらが心配してしまいますが
少年は好奇心旺盛で、あこがれの海賊船に乗り上機嫌。


お頭と子分たちの掛け合いも小気味よく、
読み聞かせていても楽しくなってきます。


ただ、海賊の世界もそんなに生易しいものではありません。

船で人生のほとんどを過ごす。

それは並大抵の精神力ではありません。

強くてたくましい海賊にあこがれて船に乗り込んだ少年も、
宝の山に見とれてワクワクしていた始めとは違い、
荒波にもまれながら必死に生きていく海賊の姿を目の当たりにし
いかに自分が甘えて育ち、何もできない無力な存在か
思い知らされることとなります。

それでも、少年はあきらめませんでした。
できることは自分でやり、
できないことも必死に挑戦しました。
そして少年は船の上で少し強くなることができたのです。

浜から出発した海賊の旅も
ひょんなことから自宅の庭へとゴールを迎えます。


個性的な海賊の生きざまと
少年のこれからの成長に
なんだか楽しくなってくる素敵な絵本でした。

2018年12月12日水曜日

【世界の名作絵本】うっかりもののまほうつかい(福音館書店)【あなたが魔法を使えたら】

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うっかりもののまほうつかい(福音館書店)


さく:エヴゲーニイ・シュワルツ
え :オリガ・ヤクトーヴィチ
やく:松谷さやか


定価 1300円(税別) 

全32ページ

読み聞かせおすすめ度  ☆☆☆☆
読みごたえ度      ☆☆☆☆☆
絵(写真)のかわいらしさ ☆☆☆☆
子どもと一緒に楽しめる度 ☆☆☆☆

実際に読み聞かせした夫か私の評価【満点:☆5つ】

読むのにかかった時間 15分程度


~読み聞かせの感想~
この絵本を読まれた方がまず思うこと。

主人公は発明家なの?魔法使いなの?


この物語の主人公は発明家であり
魔法使いの学者さん。

名前をイワン・イワーノヴィッチ・シードロフと言います。

読み聞かせ担当としては何とも大変な名前です。
意外とこの名前が直接出てくるので
ちょっと読み聞かせには苦労します。

さて、発明家なのでロボット作りがとっても得意。
デザインとセンスがあるかは(・・?なのですが
ちょっと不思議な形のロボットをひょいひょいと作り上げます。

そんなイワンがある日道を歩いていると
馬車に乗った男の子と出会います。

そこで男の子に
「馬を猫に変えられますか?」
と魔法を使うことをお願いされます。

そんな簡単に使っていいのかなと思うほど
イワンはいとも簡単に馬を猫へと変身させました。

しかし・・・
うっかりもののイワンは猫を馬に戻すことが出来ません。

その原因は元に戻す魔法のレンズが壊れてしまっていたのを忘れてしまったから
Σ( ̄ロ ̄lll)ガーン
そんな重要なことを
淡々と平然と説明をするイワン。

完全に天然のうっかりものです。

少年は猫に変身してしまった馬にショックを受けますが、
この変身した猫は馬の力を失ってはいないとのこと。

イワンは魔法のレンズを直して
必ず馬を元に戻すと約束し
少年は馬の力のある猫に馬車をひかせその日は分かれます。


さて、後日、魔法のレンズを直したイワン。
少年の家へと向かう準備をし始めますが・・・

このあと、予期せぬタイミングで
少年の猫が馬へと姿を戻し、

馬は猫だった時の名残を残し、

この少年がこの後どうなるのだろうと心配する様な
不思議な終わり方をします。

原作はロシアの子供用雑誌に掲載されたおはなし。

魔法使いなら発明しなくてもいいじゃんと突っ込みたくなりますが
そこは夢のある世界。

興味あることに躊躇なく挑戦する
うっかりもののイワンに魅了されています。

主人公の名前が長いところは読み手の頑張りどころ。
ちょっとくらい噛んでしまっても
ぜひ楽しく読んでみてください。

2018年12月3日月曜日

【2012年アカデミー賞短編アニメーション受賞作】モリス・レスモアとふしぎな空とぶ本(徳間書店)【本と生きる】

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モリス・レスモアとふしぎな空とぶ本(徳間書店)



さく:ウィリアム・ジョイス
やく:おびかゆうこ

定価 1500円(税別) 

全56ページ

読み聞かせおすすめ度  ☆☆☆☆☆
読みごたえ度      ☆☆☆☆☆
絵(写真)のかわいらしさ ☆☆☆☆☆
子どもと一緒に楽しめる度 ☆☆☆☆

実際に読み聞かせした夫か私の評価【満点:☆5つ】

読むのにかかった時間 15分程度


~読み聞かせの感想~
表紙をみると、ホラーテイストなお話?!

そんな風に思ってページをめくると
ちょっと違う寂しげな物語のスタートに
一瞬拍子抜けをしてしまいます。

この絵本の中で起こることは摩訶不思議。

でも、読み終わったときに
「書くこと」
「記録を残すこと」
「本を作ること」
の意味を改めて考えさせられる絵本でした。


物語は本の大好きな少年モリスが主人公です。

モリスは本が大好きで、読むことはもちろん
書くこと、そして将来は図書館で働きたいと願う
希望に満ちた少年でした。

しかし、人生には物語と同じように
予期しないことが起こるようで、
自宅が嵐に巻き込まれ、
家はめちゃくちゃ。
大切な本や書き溜めた原稿すら
一瞬で失ってしまいます。

失意のどん底のモリス。
行くあてもなく、彷徨うように
嵐の被害にあった街を歩き続けます。

すると、そこに現れたのは不思議な少女。
手にはたくさんのひもが。
そのひもの先には、
なんと、本がパタパタと羽ばたいています。

その姿に唖然とするモリス。

モリスは自分にも本をはばたかせることが出来るのか
挑戦をしますが、見事に落下してしまいます。

すると、今度はモリスの近くにもふわりと本がやってきて、
ある場所へと導かれます。

そこはお屋敷。
しかも、本がたくさん置かれているお屋敷。
モリスにとっては夢のような空間です。

そこで、モリスは生きているかのように動く不思議な本たちと
読んで、感じたことや考えたことを記録して、書き連ねて
夢のような生活を送ります。

そして、1冊の本が出来上がりました。

その時のモリスはすでに時が過ぎ、おじいさんとなっていました。

そして、その本と引き換えにモリスはこの家を出ていくことを決意します。

悲しむ本たちを前に、最後まで穏やかに挨拶をするモリス。

元の世界へとモリスは戻ります。

すると、不思議なことにモリスは
あの少女と出会った幼い少年へと若返り
元の生活へと戻ったのです。

では、モリスのいなくなった本だらけの家はどうなったのか。

少女が訪れていました。
少女は楽しそうに本を読んでいます。

この少女はモリスと出会った少女なのか、
それともモリスの次に選ばれた少女なのか。
答えはありません。

ただ、モリスの本は前は羽ばたけなかった。
でも、モリスが去ったあと、生き生きと飛び立てるようになりました。
いのちが吹き込まれたかのように。



読み終わったあと、不思議な感覚になります。
結末がはっきりしないのに、
なのに、大切な何かを受け取ったような思いがします。

それは、単なる本の大切さ。
それだけではないような気がします。

生きる中で、話すこと、書くこと、書き残すこと。
たくさんありますが、それが次の世代、その次の世代へとつながる
大切なツールなんだと改めて考えさせられました。

私は、200年は生きられない。

でも、本は大切にすれば200年でも300年でも
思いを届け続けることが出来る。

有形な財産として本は重要な役割を果たすのだなと私は思いました。

もちろん読み聞かせた子どもたちは
そこまで深くは考えないと思います。

でも、不思議な本たちとモリスの生き方、
そして最後に若返る驚きは
52ページという長めの絵本でも
飽きることなく聞いてくれることと思います。

そして私と同じように、
この絵本を次の世代へとつなげてくれた時に
新たな発見をしてくれると嬉しいなと思います。

温かな素敵な絵本をありがとうございました。

2018年11月21日水曜日

【だまし絵絵本というにはもったいない】どこでもない場所(ほるぶ出版)【ありえない世界に浸ってみましょう】

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どこでもない場所(ほるぶ出版)



さく:セーラ・L. トムソン
え :ロブ ゴンサルヴェス

定価 160円(税別) 

全34ページ

読み聞かせおすすめ度  ☆☆☆☆☆
読みごたえ度      ☆☆☆☆☆
絵(写真)のかわいらしさ ☆☆☆☆☆
子どもと一緒に楽しめる度 ☆☆☆☆☆

実際に読み聞かせした夫か私の評価【満点:☆5つ】

読むのにかかった時間 15分程度


~読み聞かせの感想~
だまし絵絵本。
そう言ってしまうのは簡単ですが、
絵のクオリティがとても高く、
ページを開いて飾っておきたい、
そう思える美術品のような絵本です。

絵本では様々な風景が描かれています。
どの絵も奥行きがあり、吸い込まれそう。

そこに、ぽつり、ぽつり。
つぶやくような文章がつづられています。

「想像してごらん。ほら、ここは」

この一文でさまざまな異空間へと導かれます。
そこはありそうでありえないことが起こっている
「どこでもない場所」

小川が霧と接するとそこから古風な建物がのぞきだす。
一面に広がった夜空が陸地と接したときに気づけば溶け合い一つになっている。
おもちゃのお人形がおもちゃの家から出てくる絵なのに
人形が途中から等身大の生身の人間に変わっている。
花が咲き乱れている公園がいつしか雪面となりその上をスキーヤーが滑っている。

などなど。

言葉では到底説明しきれないような世界観が
この絵本には広がっていて心と魂を奪われます。

一度、子どもたちと一緒に
普段、想像しない世界に浸ってみるのはいかがでしょうか。

2018年11月18日日曜日

【秋から冬への贈り物】木の葉つかいはどこへいった?(きじとら出版)【小さな葉っぱの小さな勇気】

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木の葉つかいはどこへいった?(きじとら出版)



さく:ピーナ・イラーチェ
え :マリア・モヤ
やく:小川 文

定価 160円(税別) 

全25ページ

読み聞かせおすすめ度  ☆☆☆☆
読みごたえ度      ☆☆☆☆☆
絵(写真)のかわいらしさ ☆☆☆☆
子どもと一緒に楽しめる度 ☆☆☆

実際に読み聞かせした夫か私の評価【満点:☆5つ】

読むのにかかった時間 15分程度


~読み聞かせの感想~
当たり前のように訪れる四季。

中でも秋の深まりは暗さや影、寂しさを感じる季節でもあります。

一方で、色の濃淡がきれいな葉の色づき。
紅葉は、そんな寂しさと対極にあるような生命力を感じさせてくれます。

今回の絵本は、そんな色づいた葉が
落ち場となるその時をメインに描かれています。

文章が実にリズムよく、滑らかで
自分が読んでいても自然の心地よい流れを感じさせてくれます。

ただ、内容に比喩表現が多く
文章の多いページと絵だけのページの差が大きく、
小さなお子さんには少し退屈な絵本かもしれません。

物語は落葉が「木の葉使い」の指揮のもと行われているという設定で始まります。

しかし、今年はその木の葉使いが木々たちのもとにやってきません。

葉っぱたちは自分たちの色づき、そして季節の移り変わりを感じています。

それでも「木の葉使い」が来ないので、落葉に勇気を出せない葉っぱたち。

そんな中、一枚の葉っぱが覚悟を決めて木から落ちようとします。

その時の葉の覚悟と不安、見守る周りの葉っぱたちの気持ちの揺れ方。
これらが絵と文できれいに表現されています。

紅葉のきれいな絵はほとんど出てきません。
それでも、繊細な葉や雪に埋もれていく葉の姿には
静かな味わいを感じさせてくれます。

木の葉使いはどこへ行ったのか。

最後に種明かしをしてくれますが
ちょっと拍子抜けしてしまうような理由でした。

秋というより、秋から冬への季節の移り変わり。
そんな一場面を描いた繊細な絵本です。

読み聞かせもよいですが、
ぜひ一度大人の方が目を通して
味わっていただくと良いかと思います。

2018年10月28日日曜日

【最後まで気が抜けないおしっこ】もっちゃうもっちゃうもうもっちゃう(徳間書店)【一つではないターニングポイント】

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もっちゃう もっちゃう もう もっちゃう(徳間書店)


さく・え:土屋富士夫

定価 140円(税別) 

全40ページ

読み聞かせおすすめ度  ☆☆☆☆☆
読みごたえ度      ☆☆☆☆☆
絵(写真)のかわいらしさ ☆☆☆☆☆
子どもと一緒に楽しめる度 ☆☆☆☆☆

実際に読み聞かせした夫か私の評価【満点:☆5つ】

読むのにかかった時間 15分程度


~読み聞かせの感想~
小学校の図書館にも素敵な絵本があるものですね。

今回は、小1になった娘が家で読んでほしくて
図書の時間に選んで借りてきた絵本です。

表紙を見るだけで、子どもが惹かれるのは分かります。

主人公は男の子。
なんとなく、うちの息子に似ているようなw

そわそわしちゃって、興味があっちこっちいっちゃって。
気づいたら自分のおしっこの限界が近づいていたというような。

そんな男の子が飛び込もうと思ったのは
デパートのトイレ!!

ところが、なんてことでしょう。

まず、トイレの場所を聞いた受付のお姉さんがおっちょこちょい。

おしっこはどこですかって聞いたら
そのような品は扱っておりませんだって・・・

いや、わかるでしょ。
トイレを探してるって。

そんなショックを乗り越え
たどり着いたトイレ様。

しかし、そんな時に限ってそのトイレが

「工事中」

でも、人生で一度は経験あるよなぁ
なんて大人は思ってしまいますが、
この子にとっては一大事。

工事のおじさんが教えてくれます。
3階のトイレを使ってくださいと。

限界を迎えそうな膀胱をなだめながら、
エレベーターに乗り込むと、
なんとそのエレベーターは途中階に止まらない
快速エレベーター。
みごとに3階をすっ飛ばし、
屋上へと導かれます。

ここから奇妙なと方たちと出会います。
キリンにコウモリにガイコツに
終いにはハロウィンにお似合いの妖怪まで。

みんないい方たちなんだけど
男の子の求めてるトイレとはちょっと違う・・・
いや、だいぶ違うので、おしっこできず。

やっとの思いでトイレにつくと思ったら
デパートのラッキーお客様に選ばれて
インタビューに答えなくちゃならなくなったり
ハチャメチャな展開に。

それでも何とか飛び込んだ3階のトイレは
まさかの迷路!!

これでもかってくらい、トイレに行かせてくれません。

そんなとき、男の子は夢から覚めます。
そう、このお話は夢だった。
でも、おしっこしたいのは現実で、
急いで飛び上がりおトイレへ。

ところが現実の世界にも困難はあるもので、
妹が先にトイレを占領。

そして、わが家のトイレは階段の途中にある変な家・・・

???

???????

そんな家ある?
妹いたっけ??



最後までどんでん返しの続く絵本。
バタバタしながら楽しく読めちゃう
素敵な絵本に出会うことができました。

2018年10月22日月曜日

【おばさんは肉食系】クモおばさんのおうちやさん【青山邦彦さんの緻密な絵本】

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クモおばさんのおうちやさん(あかね書房)


さく・え:青山 邦彦

定価 140円(税別) 

全32ページ

読み聞かせおすすめ度  ☆☆☆☆☆
読みごたえ度      ☆☆☆☆
絵(写真)のかわいらしさ ☆☆☆☆☆
子どもと一緒に楽しめる度 ☆☆☆☆

実際に読み聞かせした夫か私の評価【満点:☆5つ】

読むのにかかった時間 15分程度


~読み聞かせの感想~
虫の町でのお話。

クモおばさんは、自分の特技を生かして
家つくりをすることにしました。

その名も「クモおばさんのおうちやさん」

そのかわいらしいネーミングとは裏腹に
普段のあらあらしいクモを忘れられない虫たちは
怖がり、信用せず、家つくりを頼もうとはしません。

読み進めるとかわいそうなクモおばさん。

でも、へこたれず、家つくりを進めていると
だんだんと実績が評価され
虫たちからの依頼も増えていきます。

そこで、今度はクモおばさんが提案します。

「おおきなひろばをつくろう!」と。

忘れていました、私。
表紙のクモおばさん。
決していい人には見えません。

そうなんです。
実はこのクモおばさん、肉食系。
当然、ほかの虫たちも獲物の対象。
だから、この広場つくりは下心満載。

この下心が家つくりを始めた当初からあったとしたら
相当に悪い虫だと思います(笑)

ところが、この下心が災いしたのか、
広場つくりの詰めの作業で失敗。
自分自身がクモの糸に絡まってしまいます。

しかし、周りはクモおばさんを信頼している虫たち。
これまでの恩を返すべく、クモおばさんの下心などつゆ知らず
懸命にクモおばさんを助け出します。

下心ありありのクモおばさんも
これだけの良心に触れると感じることがあるのでしょう。

心はだんだんと清らかに、
そして家づくりへの思いが研ぎ澄まされていきます。

この町でがむしゃらに街づくりを進めたある日
クモおばさんは姿を消します。

そこにはクモの糸でメッセージ。

粋を感じさせてくれるクモおばさんに
最後は嬉しくなります。



クモおばさんの心情を理解するには
少し年齢が必要だと思います。
私は解説を交えながら読み聞かせをしました。

絵は青山さん特有の緻密な絵。

一家に一冊♪おすすめです!

2018年10月12日金曜日

【建物だって生きている】おおきな やかたの ものがたり(PHP研究所)【住人の幸せは一つじゃないね】

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おおきな やかたの ものがたり(PHP研究所)



さく・え:青山 邦彦

定価 130円(税別) 

全32ページ

読み聞かせおすすめ度  ☆☆☆☆☆
読みごたえ度      ☆☆☆☆☆
絵(写真)のかわいらしさ ☆☆☆☆☆
子どもと一緒に楽しめる度 ☆☆☆☆☆

実際に読み聞かせした夫か私の評価【満点:☆5つ】

読むのにかかった時間 20分程度


~読み聞かせの感想~
主人公は館。
やかたの目線からのお話です。

中世の時代に建てられた館。
それはもう立派できらびやかで
誰もがうらやむ素敵な建物でした。

しかしこの館の主もいずれはこの世からいなくなります。

そして、誰も住まないひっそりとした館になってしまいます。

人が住まない建物は劣化するとよく言いますが、
この館も荒れ果て、だれも見向きをしなくなります。

それでも、時代の変化とともに、
この荒れた建物をきれいにして
住みたいと思う出会いが生まれます。

そして、今までの住まいとは違った形での
館の活躍がそこには描かれます。

人が住んでは、人が離れ、
人が住んでは、人が離れ、

そのたびに館自身は一喜一憂し、
自分が活躍できることを願うのです。


ところが時代は戦乱の世。
館もこれだけ大きければ被害は免れません。

焼け、壊れ、ボロボロになり
とうとうこの館に住む人はいなくなってしまいました。

そして荒れ果てた建物を放置すれば、
よくない輩の拠点となってしまいます。
不良グループが無断で住みつき
悪さを続けます。

館はそんな自分がむなしく切なく感じます。

そして少年グループは逮捕されてしまいました。

されに落ち込む館。

そこに女性がこの館を買いたいと現れるのです。
こんなボロで悪さをする少年が集まる館をどうすると?

すると女性は逮捕された少年や
幼い少年少女をここに住まわせました。

しかもただ住まわせるのではなく、
子どもたちが自分の手で
この館をどうするか考え
修理し、新たな住まいへと変貌させたのです。

その館の姿はお世辞にもカッコいいものではありません。

しかし、そこに住む人はみんな笑顔。
幸せそうな表情をしています。

そして、館もその姿を見て
これはこれで幸せだと嬉しく思うのでした。



青山さんは建築家で建物の専門家。
だから建物の緻密さは文句のつけようがありません。
でも、この絵本はそれだけではなく
描かれた一人一人の人物が素晴らしい。

生きている。
その温かみを実感できる絵本です。

同じ家でも住む人によって家が変わる。

それを時間の経過とともに
見せてくれるこの絵本は
大人でも楽しむことができました。

2018年10月6日土曜日

【信じることは強さ】わたししんじてるの(ポプラ社)【生き方はいつでも変えられる】

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わたししんじてるの(ポプラ社)

さく・え:宮西 達也

定価 120円(税別) 

全40ページ

読み聞かせおすすめ度  ☆☆☆☆☆
読みごたえ度      ☆☆☆☆
絵(写真)のかわいらしさ ☆☆☆☆☆
子どもと一緒に楽しめる度 ☆☆☆☆☆

実際に読み聞かせした夫か私の評価【満点:☆5つ】

読むのにかかった時間 15分程度


~読み聞かせの感想~
トリケラトプスの一家が幸せに暮らしていたある日
山が崩れトリケラトプスのお父さんとお母さんが
生き埋めになってしまいました。

唯一難を逃れたのが子のリケラ。

まだ小さな子どもですが、そこはトリケラトプス魂。

小さいながらも誰かに助けてもらおうと
懸命に恐竜を探します。

するとそこに現れたのが
サイカニア、パキケファロサウルス、
アナトティタン、スティラコサウルス
という名だたる恐竜たち。

生き埋めの原因となった岩をどかそうと
懸命に噛みつき、ぶつかり、どかそうとします。

しかし大きな岩はびくともしません。
こんな岩をどかせるのはあいつしかいない。

そう最恐の「ティラノサウルス」です。

しかし岩をどかせるのがティラノサウルスなら
自分たちが食べられてしまう可能性があるのもティラノサウル。

他の恐竜たちは子のリケラに
ティラノサウルスへ頼むのは危険だと
忠告しました。

しかし大好きなお父さんお母さんを見殺しになんかできないリケラ。
勇気を振り絞り、ティラノサウルスに
岩をどかしてもらえるようお願いをします。

頼まれたティラノサウルスは下心満載。
子のリケラはもちろん岩をどかしたら父親、母親も食べられると
とんでもない思いをもって手助けをすることにしました。


しかしティラノサウルスをもってしても簡単には動かない岩。
ぶつかり続けた額はけがを負い、体力も限界。
でも、あきらめない子がそこにはいました。
リケラです。

ティラノサウルスに岩をどけることができたら
自分を食べてもいいという
身代わりを申し込みます。

ティラノサウルスは困惑しながらも受け入れ
引き続き岩をどけるようチャレンジを続けます。

ティラノサウルスが岩をどけて
お父さん、お母さんを助けてくれると信じるリケラ。

そのピュアでまっすぐな心に
下心丸出しだったティラノサウルスも
恐竜を助けることに集中し始めます。

何度もトライし続けた結果、
とうとう岩をどかすことができました。

さぁ、両親が助かった時、

リケラはどうなったと思いますか?
ティラノサウルスはどうしたと思いますか?

タイトルにある
「しんじつづけたこと」で何が起きたのか、
素敵な物語をぜひお読みください。

2018年9月18日火曜日

【生き物によって命の重さは違うの?】希望の牧場(岩崎書店)【震災を忘れない】

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希望の牧場(岩崎書店)



さく:森 絵都
え :吉田 尚令

定価 150円(税別) 

全32ページ

読み聞かせおすすめ度  ☆☆☆☆☆
読みごたえ度      ☆☆☆☆☆
絵(写真)のかわいらしさ ☆☆☆☆
子どもと一緒に楽しめる度 ☆☆☆

実際に読み聞かせした夫か私の評価【満点:☆5つ】

読むのにかかった時間 20分程度


~読み聞かせの感想~
東日本大震災のあとに発生した
原子力発電所の事故により
「立ち入り禁止区域」になった牧場が、
福島県の浪江町にあり、現在も運営されています。

だれもいなくなった町の牧場にとどまり、
そこに取り残された牛たちを、
何が何でも守りつづけようと決めた、
牛飼いのすがたが絵本には描かれたいます。


放射能をあびた牛たちは、
もう食えない。
 食えない牛は売れない。
 いちもんの価値もなくなったってこと。
 それでも、生きてりゃのどがかわくから、
 水くれ、水くれって、さわぐんだ。
 エサくれ、エサくれって、なくんだよ。(本文より)

表紙からも重たい空気を感じますが、
原子力発電所の事故によって
出荷できない汚染された牛。

浪江町は当時立ち入り禁止区域となり
避難を求められた。
食べられる運命だった牛。
死を待つ牛。

それでも牧場主の吉田さんは
牛飼いとして、
牛たちをそのまま見殺しにはできなかった。
牛飼いとして命を預かる以上
食肉となる以外での死を許すわけにはいかなかった。

牧場主の怒りや憤り、
命の大切さや仕事への使命感、
何よりも自分自身の生き方をどうするか。

震災という大災害から起きた人災に
真っ向から立ち向かった人のお話です。


子どもたちはこの本を読んで一つだけ疑問を抱きました。
「この人は死んじゃわないの?!」

うかつには答えられませんでした。

さまざまな生き方や価値観はあるけれど
自分自身の命も大切にしてほしい
そんな言葉も添えて今回は読み聞かせをしました。