2018年12月30日日曜日

【親子で泣ける感動のハートフルストーリー】おばけのケーキ屋さん(マイクロマガジン社)【pixivから生まれた絵本】

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おばけのケーキ屋さん(マイクロマガジン社)


さく:SAKAE

定価 1000円(税別) 

全32ページ

読み聞かせおすすめ度  ☆☆☆☆☆
読みごたえ度      ☆☆☆☆
絵(写真)のかわいらしさ ☆☆☆☆☆
子どもと一緒に楽しめる度 ☆☆☆☆

実際に読み聞かせした夫か私の評価【満点:☆5つ】

読むのにかかった時間 15分程度


~読み聞かせの感想~
イラスト コミュニケーションサービス【pixiv(ピクシブ)】で
話題となった物語が絵本となりました。

表紙のほのぼのとした感じ、
タイトルの「おばけのケーキ屋さん」

どちらからも、想像しにくいストーリーに
読者からも賛否両論ある絵本ですが、
今回もわが子たちは読み聞かせ後に
討論会を勝手に開催する、
わが家にとっては意義ある絵本となりました。


物語の登場人物は主に二人。
ケーキ屋さんを営むお化けの男性。
それから、幼い少女です。

おばけのケーキ屋さんは、
自作の世界一美味しいケーキを食べさせて
みんなをビックリさせるのが大好き。

ふつうの怖いお化けとは違う
ちょっと変わったお化けです。

そんなケーキ屋さんに女の子が来店。

今回も女の子にとびっきりのケーキで
びっくりさせてしまおうと企みます。

ところが、少女はケーキを食べると
びっくりすることなく、静かに

「おいしいけど、パパのつくるケーキと同じくらいかな」

とつぶやきます。

自分のケーキを世界一おいしいと自負しているお化け。
なんだか、少女の反応が悔しくて

これは負けてられないと女の子にこう言います。
「これから月にいちどケーキを食べにおいでよ」

ここから、毎月、お化けのケーキ屋に少女がやってきます。

しかし、どんなにおいしい違ったケーキを食べさせようとも

「おいしいけど、パパのつくるケーキと同じくらいかな」

としか言ってくれません。
それでも何度も何度も挑戦するお化け。

月日はあっという間に過ぎていきます。


そんなある日、突然少女が改まって現れます。
そして、うれしくも悲しいお知らせをおばけに打ち明けます。

少女は大人となり、結婚することになりました。
そして、このケーキ屋さんにはもう来れないことを告げます。

おばけが祝福しようとしたその時、

さらに、少女は自分がおばけの娘であることを告白します。

おばけは、驚きます。



そしておばけは翌日、結婚式が行われることを知るのです。

おばけは思いました。

娘の最高の晴れ舞台に
なんとしても自分の最高のケーキを届けたい。

そう思ったおばけは、
必死にウエディングケーキを作り、
届けます。

しかし、所詮はおばけ。
夜の世界の身。

太陽にあたるとおばけは消滅してしまいます。

それでも、娘のために、
朝日が昇るギリギリまでケーキを作り
必死に会場まで届けました。

ケーキは無事、娘の結婚式会場へ届きます。

娘はお父さんおばけのケーキが届いていることに驚きつつ、
大切なケーキを味わいます。

そして、娘はこうつぶやきました。
『おばけさんのつくるケーキは 世界一おいしいよ』
『だって わたしがいちばん大好きなケーキだもの!』
「ありがとう。わたし あなたに会えて とても幸せでした」
と伝えるのです。

自分の娘にケーキを作り続けたおばけ。
消滅を恐れず、娘の晴れ舞台へケーキを届けたおばけ。

滑稽で不細工な展開ではありますが
ストレートな温かい思いは伝わりました。


ところで、この絵本を読み聞かせしていると
子どもたちでも気づく疑問点があるようです。

「女の子はおばけをお父さんと知っていてこのケーキ屋さんへ来たのかな?」
「なぜ、おばけは女の子を見て、娘と気付かなかったのかな?」

どちらの疑問もなるほどなと私は感心しました。
そして、自分たちでいろいろと前後の話を想像しながら

「きっと前にケーキを食べた少女がお父さんだって気が付いて
確かめにこのケーキ屋さんへ来たんだよ」
「今よりだいぶ前に死んでしまったから
女の子のことに気が付かなかったんじゃない?」
と。

死を扱う絵本に慎重な声も上がる世の中ですが
私はあんまりタブー視せず
いろんな想像をしてほしいなと見守っています。

近くにいて、必要な時にフォローできればいいのかなと。

この絵本は、絵が現代的で印象に残ります。
様々なシリーズになっているの様なので
一度手に取ってみることをお勧めします。


2018年12月27日木曜日

【もったいないばあさんの 】てんごくとじごくのはなし(講談社)【協力しなくちゃできないこともあるんだね。】

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もったいないばあさんの てんごくとじごくのはなし(講談社)


さく:真珠 まりこ

定価 1500円(税別) 

全32ページ

読み聞かせおすすめ度  ☆☆☆☆☆
読みごたえ度      ☆☆☆☆
絵(写真)のかわいらしさ ☆☆☆☆☆
子どもと一緒に楽しめる度 ☆☆☆☆☆

実際に読み聞かせした夫か私の評価【満点:☆5つ】

読むのにかかった時間 10分程度


~読み聞かせの感想~
あの「もったいないことをしていると、もったいないばあさんがくるよ!」
のもったいないばあさん。

シリーズ10周年で出されたのが、この「てんごくとじごくのはなし」だったよう。

この物語自体は、様々なところでお話しされている
古くから語り継がれている物語。

その物語にもったいないばあさんが顔を出し、
やっぱりお話で言われていることは大切なのねと
一緒に再確認できる物語です。


今回、もったいないばあさんが行き着いたのは
なんだか険しい顔をした人たちが列をなす
殺気だった場所。

何に並んでいるのかと先頭をのぞいてみると
そこには怖い赤鬼が。

そう、ここは地獄だったのです。

しかも、並んでいる人々に何かを配ってる。

細くてながーいもの。
先は丸くて・・・

そう、スプーンです。

並んでいる人々の声をよく聞くと
「腹減った~」「はやくしろ~」
など、食べ物に困っている様子。

でも、普通のスプーンではなく
なんであんなに人の背丈もある長いスプーンなのか。


スプーンを持った人々は
底の深い大きな鍋へ移動します。
鍋の周りにぐるっと並ぶと
我先にとお鍋のスープを飲もうとします。

そりゃあ、おなかがすいていれば
早く人よりも多く口にスープを入れたいところ。

でも・・・
長いスプーンで深い鍋のスープを
すくうことはできるのだけれど
一人で口元へは運べない。

地獄の人々は何度も何度もチャレンジしますが
何度やったって結果は同じ。
結局、スープを飲めない人々は
互いを罵り合って、汚い言葉が飛び交います。

それを見ていたもったいないばあさん。

はっとひらめきます。
どうやったら、スープを飲めるかを。

すぐに飲み方を教えてあげようと鍋に近づくと・・・
鬼に見つかり一言。
「おまえがなぜここにいる!」
怖い鬼に一突きされて、
もったいないばあさんは地獄から追い出されてしますます。

追い出されたもったいないばあさんの行き先は

天国。

天国でも同じように長いスプーンと大きなお鍋が用意されていました。
しかし、天国では全く喧嘩は起きません。
それどころか上手にお鍋のスープを食べているのです。

その姿を見て、小学生の子どもたちは
初めてこのお話を聞いたらしく
「なるほど!!」
とえらく感心していました。

皆さんがご存知の通り、
天国の人たちは自分ですくったスープを
向かいにいる人の口元へ運んであげます。
自分のすくったものを人に食べさせてあげることで
自分も同じことをしてもらい、
口元に届かなかったスープを協力して飲むことができたのです。

小学1年生の娘は「一番初めに気づいた人は偉いね」と言いました。
それに、小学3年生の兄が「でも、それを真似してみんなでやったのもえらいよね」
となんだかここは教室かと思うような意見交換をしていました。

私は今回は一言もフォローせず読み聞かせを終えました。

きっと、次の日には忘れてしまうでしょうが、
いつか困難なことがあったとき、
お友達が苦しんでいるときに、
ちょっとした手助けを苦としない子に育ってほしい、
そんな願いだけはもって、
これからも読み聞かせを続けていきます。

2018年12月24日月曜日

【クリスマス・イブに読んだ絵本】12月通り25番地(BL出版)【温度を感じる絵本】

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12月通り25番地(BL出版)


さく:ヘレン・ウォード
え :ウエイン・アンダースン
やく:岡田 淳

定価 1600円(税別) 

全32ページ

読み聞かせおすすめ度  ☆☆☆☆☆
読みごたえ度      ☆☆☆☆☆
絵(写真)のかわいらしさ ☆☆☆☆☆
子どもと一緒に楽しめる度 ☆☆☆☆☆

実際に読み聞かせした夫か私の評価【満点:☆5つ】

読むのにかかった時間 10分程度


~読み聞かせの感想~
12月24日のクリスマスイブにクリスマスの絵本を紹介するブログ(笑)
ご容赦ください。

今年、本当につい先ほど
子どもたちに読み聞かせました。

毎年恒例のクリスマス絵本。

今年はちょっとシックな表紙の絵本。

タイトルが「12月通り25番地」なんて、
なんだか大人もワクワクしてしまうミステリアスな雰囲気。

子どものクリスマスの華やかさとは違い
落ち着いた、それでいてサンタさんがリアルに感じる絵本になっています。

主人公は小学生くらいの小さな女の子。
大切な人に贈るクリスマスプレゼントを探します。

でも、なかなかプレゼントは見つかりません。
とうとう今日はクリスマス・イブ。

誰もが幸せそうに大通りを歩いています。
行き交う人々、明るいネオン、自動車の音に圧倒されながらも
必死にプレゼントを探す女の子。

ところが小さな女の子は次第に大人に押され、はじかれ、
とうとう大通りを歩けずに脇の通りへと入っていきます。

そこが12月通り。

表の喧騒が嘘のように
ひっそりと静まり返っています。
薄暗く、降る雪ですら寂しさを感じるこの通り。

そこに一軒だけ明かりのあるお店がありました。
場所は25番地。

そこは、たくさんのおもちゃがあるおもちゃ屋さん。

女の子が探しているプレゼントも見つけることができました。

お店の中は意外と暗くて殺風景。
それでも所せましとおもちゃが置かれています。

女の子はプレゼントが手に入ると喜んだもの束の間。

そこには先客が。

店員さんは一人のようで、
このお客さんに付きっ切り。

女の子はたった一つの
あのプレゼントが欲しいだけなのに
たった一人の店員さんは
「少々お待ちください。」

待っている間に先客は尋常じゃないほどおもちゃを買っていきます。
車のおもちゃもお人形もパズルもぬいぐるみも。

先客はずんぐりむっくりの体形で
長いひげをたくわえているおじさんのよう。

おじさんが指さしたおもちゃは
次から次へと白い袋へ入れていかれます。

そして、お店にあったたくさんのおもちゃは、
どうやって入ったのか首をひねりたくなりますが、
余裕をもって袋へと収まります。

そのおじさんは慌てて会計を済ませると、
狭い扉を無理やり通り、
気づくとそこに誰もいなくなりました。

女の子はその姿を唖然と送ります。
そして、すっと正気に戻り、店員さんへ声をかけようとします。

しかし、そんな彼女よりも早く店員さんは
「申し訳ありません。もうお売りするものがうちの店にはありません。」

物語自体が落ち着いたトーンで進むため大げさには描かれていませんが
ずっと探し求めていたものが目の前であっという間に消え去った事実は
大変にショックだったと思います。

女の子は落ち込んでお店を出ました。

悲しみに暮れる女の子。

そこへ、ふわりふわりと飛んできたのが白いぬいぐるみ。
「メリークリスマス!」
とのメッセージとともに、
女の子の探し求めていたプレゼントがやってきたのです。

明かりの少ない12月通り。
その1本の街灯の下で、
白い動物のぬいぐるみを大切に大切に抱きしめます。

そして、クリスマス。
女の子はプレゼントを大切な赤ちゃんに渡すことが出来ました。

この赤ちゃんは誰のどういう関係かは描かれていませんが、
そんなことはどうでもいいほど、幸せな姿に描かれています。


この絵本には
家族や恋人などクリスマスにありがちな関係性は描かれていません。

また、女の子の境遇も描かれていません。

柱となるのはプレゼント探しと最後のプレゼントを渡すシーン。

しかし、その間に行き来する不思議な非日常空間は
リアルからそう大きく外れることもなく
誰でも自然と入り込むことが出来ます。

お店で見かけた先客のおじさんは
果たしてサンタクロースだったのか。

少なくとも、今日、クリスマス・イブには
夢の広がるとっても素敵な絵本でした。


2018年12月21日金曜日

【ハチャメチャストーリーの代表作】アブナイおふろやさん(ほるぷ出版)【想像力は無限大】

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アブナイおふろやさん(ほるぷ出版)


さく:山本 孝

定価 1300円(税別) 

全32ページ

読み聞かせおすすめ度  ☆☆☆☆☆
読みごたえ度      ☆☆☆☆☆
絵(写真)のかわいらしさ ☆☆☆☆☆
子どもと一緒に楽しめる度 ☆☆☆☆☆

実際に読み聞かせした夫か私の評価【満点:☆5つ】

読むのにかかった時間 10分程度


~読み聞かせの感想~
湯舟が心地よい季節となりました。
まだ、娘も息子も
お風呂に一緒に入ってくれるのですが、
息子は小学3年生なのに未だにお風呂で落ち着きません。

潜ってみたり、バシャバシャしてみたり、
マリオの世界を私たちに強要してw
一緒にBGMを歌ったり・・・

楽しいのですが、
男の子ってやっぱり女と違う!!

そう思うことが非常に多い今日この頃。


この絵本も男の子5人衆が
妄想に妄想を重ねた物語w

本当にうちの息子にも
この5人衆に入隊してもらいたいと思います。

舞台は近くのお風呂屋さん。
表紙ではお風呂屋さんと分かりますが
中を開くと
すでに男の子たちの妄想がいっぱい。

読み始めから
「こんかい われわれは
ねったいの おうこく
ユポポンタに せいそくする
まぼろしの ぎょじん
イセン・セババの すがたをおう」

意味不明。

でも、実は
「湯ポポンタ」は「たんぽぽ湯」
「イセン・セババ」は「馬場先生」
と逆さに読むと意味が分かる文章になっています。


さてさて、銭湯で繰り広げる男の子たちの冒険とは。

壁画すらも脳内変換。
古代ローマ?
歴史的建造物が並ぶ
それでいてジャングルのような未知の生物のいる空間へと大変身。

少し歩けば、滑って転び
打たせ湯は大きな滝に。

ジェットバスは激流の川になり、
薬草風呂は毒の池に早変わり。


もし、私がこの場で客観的に見ていたら
この男の子たちをどのように思うのでしょうか(笑)

毒を洗い流すという設定で
途中でしっかり体を洗う真面目な一面も。

イバン・セババを追い求め
必死にそこらを探し回る。
銭湯の中だけどw

寝風呂で寝転ぶおじいさんに
モンスターの様な妄想をし、
勝手にドキドキしながら奥へと進む。

最後にイバン・セババを発見するも
力及ばずやられてしまう。

でも、馬場先生だから
最後は優しくお話をして、
また明日、学校で会う約束をする。


最後の銭湯の前でみんなが分かれるシーン。
夕日も描かれていて、なぜだか哀愁漂います。
平成も終わるから、前の前の時代とか言われてしまうかもしれないけれど
昭和の楽しい子どもたち、
そんな姿が存分に描かれている絵本です。

もちろん今の子たちも
銭湯へ行けば
こんな妄想をたくさんしているのでしょうね。

2018年12月18日火曜日

【お正月前にぜひ読みたい】いえのなかのかみさま(光村教育図書)【神様はあなたのそばにいる】

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いえのなかのかみさま(光村教育図書)


さく:もとした いづみ
え :早川 純子

定価 1300円(税別) 

全32ページ

読み聞かせおすすめ度  ☆☆☆☆☆
読みごたえ度      ☆☆☆☆☆
絵(写真)のかわいらしさ ☆☆☆☆☆
子どもと一緒に楽しめる度 ☆☆☆☆☆

実際に読み聞かせした夫か私の評価【満点:☆5つ】

読むのにかかった時間 10分程度


~読み聞かせの感想~
東京に住む少年が田舎の親戚の家を訪れたときのお話。

そういえば、わが家も新しく家を建てた時、
地域の神主さんに来てもらって、
お札を貼ってもらって、
家族みんなで手を合わせたなあと思い出しました。

この少年のともきくんは都会暮らしで
いわゆる現代っ子。
そんな彼が、親戚の近所のお友達、
田舎の子たちと親戚の大きな家で遊んでいたところ
蔵で神様と出会います。

まんじゅうを一口食べちゃうかわいらしい神様から
勇ましい恰好の神様まで
いろんな神様が現われます。

読み聞かせでは、そんな神様の声や少年、少女、おばあちゃんの声など
登場人物に合わせて声色を変えてあげると
凄く楽しそうに聞いてくれました。


信仰心というところまで深堀せず、
多様な神様のキャラクターを
可愛らしい絵で描いています。

これからお正月を迎え
神社に初詣もいかれるかもしれません。
でも、実は神様は神社だけじゃなく
身近なところにいる存在だということを
この絵本は愉快に教えてくれます。

お正月の前におすすめな素敵な絵本です。


2018年12月15日土曜日

【あなたは海賊になったことがありますか?】こうしてぼくは海賊になった(児童図書館・絵本の部屋)【無力さを感じ、また少し成長する】

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こうしてぼくは海賊になった(児童図書館・絵本の部屋)


さく:メリンダ・ロング
え :デイビッド・シャノン
やく:小川 仁央


定価 1500円(税別) 

全44ページ

読み聞かせおすすめ度  ☆☆☆☆
読みごたえ度      ☆☆☆☆☆
絵(写真)のかわいらしさ ☆☆☆☆☆
子どもと一緒に楽しめる度 ☆☆☆☆☆

実際に読み聞かせした夫か私の評価【満点:☆5つ】

読むのにかかった時間 15分程度


~読み聞かせの感想~
きっと子どもたちは私たち親の知らないところで
驚くような体験をし
強く、大きく育っている。

そんなことを思わせる大胆な絵本です。

主人公のジェレミー・ジェイコブという名の少年は
家族と一緒に海水浴へとやってきました。

楽しい海水浴になるはずが、
お父さんもお母さんも小さな妹に手いっぱい。

少年は一人、浜で遊び始めます。

そんな両親の目を離したすきに
少年の目の前に現れたのは

「ザ・海賊」

絵からして、立派な海賊たち。
そのお頭に気に入られ、少年は海賊たちと旅へ出ます。

知らない船に乗り込むことへ不安はないのか
読み聞かせているこちらが心配してしまいますが
少年は好奇心旺盛で、あこがれの海賊船に乗り上機嫌。


お頭と子分たちの掛け合いも小気味よく、
読み聞かせていても楽しくなってきます。


ただ、海賊の世界もそんなに生易しいものではありません。

船で人生のほとんどを過ごす。

それは並大抵の精神力ではありません。

強くてたくましい海賊にあこがれて船に乗り込んだ少年も、
宝の山に見とれてワクワクしていた始めとは違い、
荒波にもまれながら必死に生きていく海賊の姿を目の当たりにし
いかに自分が甘えて育ち、何もできない無力な存在か
思い知らされることとなります。

それでも、少年はあきらめませんでした。
できることは自分でやり、
できないことも必死に挑戦しました。
そして少年は船の上で少し強くなることができたのです。

浜から出発した海賊の旅も
ひょんなことから自宅の庭へとゴールを迎えます。


個性的な海賊の生きざまと
少年のこれからの成長に
なんだか楽しくなってくる素敵な絵本でした。

2018年12月12日水曜日

【世界の名作絵本】うっかりもののまほうつかい(福音館書店)【あなたが魔法を使えたら】

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うっかりもののまほうつかい(福音館書店)


さく:エヴゲーニイ・シュワルツ
え :オリガ・ヤクトーヴィチ
やく:松谷さやか


定価 1300円(税別) 

全32ページ

読み聞かせおすすめ度  ☆☆☆☆
読みごたえ度      ☆☆☆☆☆
絵(写真)のかわいらしさ ☆☆☆☆
子どもと一緒に楽しめる度 ☆☆☆☆

実際に読み聞かせした夫か私の評価【満点:☆5つ】

読むのにかかった時間 15分程度


~読み聞かせの感想~
この絵本を読まれた方がまず思うこと。

主人公は発明家なの?魔法使いなの?


この物語の主人公は発明家であり
魔法使いの学者さん。

名前をイワン・イワーノヴィッチ・シードロフと言います。

読み聞かせ担当としては何とも大変な名前です。
意外とこの名前が直接出てくるので
ちょっと読み聞かせには苦労します。

さて、発明家なのでロボット作りがとっても得意。
デザインとセンスがあるかは(・・?なのですが
ちょっと不思議な形のロボットをひょいひょいと作り上げます。

そんなイワンがある日道を歩いていると
馬車に乗った男の子と出会います。

そこで男の子に
「馬を猫に変えられますか?」
と魔法を使うことをお願いされます。

そんな簡単に使っていいのかなと思うほど
イワンはいとも簡単に馬を猫へと変身させました。

しかし・・・
うっかりもののイワンは猫を馬に戻すことが出来ません。

その原因は元に戻す魔法のレンズが壊れてしまっていたのを忘れてしまったから
Σ( ̄ロ ̄lll)ガーン
そんな重要なことを
淡々と平然と説明をするイワン。

完全に天然のうっかりものです。

少年は猫に変身してしまった馬にショックを受けますが、
この変身した猫は馬の力を失ってはいないとのこと。

イワンは魔法のレンズを直して
必ず馬を元に戻すと約束し
少年は馬の力のある猫に馬車をひかせその日は分かれます。


さて、後日、魔法のレンズを直したイワン。
少年の家へと向かう準備をし始めますが・・・

このあと、予期せぬタイミングで
少年の猫が馬へと姿を戻し、

馬は猫だった時の名残を残し、

この少年がこの後どうなるのだろうと心配する様な
不思議な終わり方をします。

原作はロシアの子供用雑誌に掲載されたおはなし。

魔法使いなら発明しなくてもいいじゃんと突っ込みたくなりますが
そこは夢のある世界。

興味あることに躊躇なく挑戦する
うっかりもののイワンに魅了されています。

主人公の名前が長いところは読み手の頑張りどころ。
ちょっとくらい噛んでしまっても
ぜひ楽しく読んでみてください。

2018年12月9日日曜日

【怖くない可愛い妖怪大集合】ようかい りょうりばんづけ(佼成出版社)【妖怪の世界にもあったグルメガイド!】

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ようかい りょうりばんづけ(佼成出版社)


さく:澤野秋文

定価 1300円(税別) 

全32ページ

読み聞かせおすすめ度  ☆☆☆☆☆
読みごたえ度      ☆☆☆☆☆
絵(写真)のかわいらしさ ☆☆☆☆☆
子どもと一緒に楽しめる度 ☆☆☆☆☆

実際に読み聞かせした夫か私の評価【満点:☆5つ】

読むのにかかった時間 10分程度


~読み聞かせの感想~
澤野秋文さんのゆかいな妖怪絵本。

わが家の子どもたちはゲゲゲの鬼太郎は大好きなのに
妖怪っと聞くだけでちょっぴり拒否反応w

でも、この妖怪絵本はとっても楽しかったようで
わが家の料理を食べてもらって
感想を聞きたいなあと勝手なことを言っております(笑)


物語は、数百年前のある場所のお話。
そこにはさまざまな妖怪と人間たちが
上手に暮らしておりました。

人間界で言えばミシュランガイドみたいな
グルメガイドが妖怪の世界にも存在するようで
人間界の料理を食べては妖怪の舌に合うか調査する
妖怪の覆面調査員がおりました。

とうふこぞう、ざしきわらし、すねこすりの妖怪3人組。
さまざまな料理を食べては採点をしていきます。

そんな時に出会ったのが、人間界では廃れた豆腐屋。
豆腐の味はというと、ザラザラぼそぼそ。
とてもおいしいとは思えない表現ですが、
妖怪の世界では、その味がたまらなくおいしいそうで、
覆面調査員たちも大絶賛!!

その豆腐屋の豆腐が
妖怪グルメガイドにも高評価で掲載されました。

人間界でもミシュランガイドに掲載されれば
それはそれはすさまじい反響があるようですが、
妖怪界でもそれは同じ。

その豆腐屋さんは人間ではなく、
妖怪が大量に押し寄せ、大繁盛。
もともと人間には売れなかった豆腐屋さん。
親父さん一人で切り盛りしていたのですが、
とてもとても一人では回せません。

そこで、腕利きの職人を雇うことに。

すると、当然ながら豆腐は数段レベルのアップ。
おいしいものに!

あっ、おいしいとは人間にとってであって、
妖怪にとっては、あのザラザラとしたぼそぼそとした良さは失われ、
妖怪にとってはまずい豆腐に。

するとグルメガイドの掲載元にはクレーム殺到。

さぁ、大変。
あんなに妖怪に愛された豆腐がなくなってしまう。

その時に動いたのは覆面調査員。

さぁ、どのようにして妖怪の大好きな豆腐を復活させるのか。
ぜひぜひ絵本にて結果をお楽しみください。


澤野秋文さんの絵は見やすく、
子どもたちも興味を惹かれます。
時代は古い時代を舞台としていますが
キャラクターが生き生きしていて
楽しい雰囲気満載です。

読み聞かせ絵本にぴったりだと思います。

2018年12月6日木曜日

【お正月にぴったり】おみくじ(BL出版)【おみくじについての豆知識も身に付きます】

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おみくじ(BL出版)



さく:きた あいり

定価 1300円(税別) 

全32ページ

読み聞かせおすすめ度  ☆☆☆☆☆
読みごたえ度      ☆☆☆☆☆
絵(写真)のかわいらしさ ☆☆☆☆☆
子どもと一緒に楽しめる度 ☆☆☆☆☆

実際に読み聞かせした夫か私の評価【満点:☆5つ】

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~読み聞かせの感想~
正月、初詣、おみくじ。

わが家では年始定番のセットです。
+甘酒になるかもしれませんw


さて、今回の絵本はそんなおみくじが舞台。

神社にある筒状のおみくじ。
みんなが真剣に引いています。

出るおみくじによって、
みんなが一喜一憂。

たかがおみくじ。
されどおみくじ。

みんな、なんだかんだでおみくじの結果を大切にしているようです。


しかーし、そんなおみくじが実は誰かの意図した順番で出てたとしたら・・・

実はこの筒状のおみくじには、ちょっとした事情があります。
なんと中のおみくじがお話ができて動けて家族のように暮らしているのです。

そして、人間がくじを引こうとするたびに
「今回はお前が行け!」
と指図する親分がいるのです。

お賽銭をケチったと分かれば「大凶くん」が。
可愛い女の子だと「大吉さん」が。

でも、そんな好き放題のおみくじ集団に大ピンチ。
ひとりの天才少年が現れます。

なんとおみくじの中でおみくじ同士が話していることに気づくのです。

すると少年はおみくじを引きます。
そして、出た「小吉くん」に動じず、
すーっとそのままお持ち帰り。

そしておみくじの棒、小吉くんに懸命に話しかけます。
「おまえ、しゃべれるんだろ!」
それでもしゃべらない小吉くんに今度は耳かきでこしょこしょ。
それでもしゃべらなければ、もっと脅して・・・

とうとう小吉くんはすべてを少年に打ち明けてしまいます。

さて、おみくじの中で行われている不正に気付いた少年はどうしたのでしょうか。


おみくじが互いの力関係だけで決まらないように
対策を考えました。

それが、おみくじの中でおみくじを振ること。
おみくじの中で、おみくじくんたちに「ミニおみくじ」を引かせたのです。

今までは親分の指示で動いていたおみくじたち。
それが、本来の運?縁?運命?神命?で出番が決まり生き生きします。

大人としては、読み聞かせの時に
そのミニおみくじの中に
実はまたミニおみくじたちの争いがあるんじゃないかと
疑ってしまいますが、
子どもたちは、素直に次のお正月を楽しみにしていました。

実はこの絵本の見返しには
おみくじについての豆知識も書かれています。

クリスマスモードの世の中ですが、
気づいた時にはお正月。
ぜひぜひ今のうちにおみくじの豆知識を備えて
楽しいお正月を過ごしましょう♪

2018年12月3日月曜日

【2012年アカデミー賞短編アニメーション受賞作】モリス・レスモアとふしぎな空とぶ本(徳間書店)【本と生きる】

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モリス・レスモアとふしぎな空とぶ本(徳間書店)



さく:ウィリアム・ジョイス
やく:おびかゆうこ

定価 1500円(税別) 

全56ページ

読み聞かせおすすめ度  ☆☆☆☆☆
読みごたえ度      ☆☆☆☆☆
絵(写真)のかわいらしさ ☆☆☆☆☆
子どもと一緒に楽しめる度 ☆☆☆☆

実際に読み聞かせした夫か私の評価【満点:☆5つ】

読むのにかかった時間 15分程度


~読み聞かせの感想~
表紙をみると、ホラーテイストなお話?!

そんな風に思ってページをめくると
ちょっと違う寂しげな物語のスタートに
一瞬拍子抜けをしてしまいます。

この絵本の中で起こることは摩訶不思議。

でも、読み終わったときに
「書くこと」
「記録を残すこと」
「本を作ること」
の意味を改めて考えさせられる絵本でした。


物語は本の大好きな少年モリスが主人公です。

モリスは本が大好きで、読むことはもちろん
書くこと、そして将来は図書館で働きたいと願う
希望に満ちた少年でした。

しかし、人生には物語と同じように
予期しないことが起こるようで、
自宅が嵐に巻き込まれ、
家はめちゃくちゃ。
大切な本や書き溜めた原稿すら
一瞬で失ってしまいます。

失意のどん底のモリス。
行くあてもなく、彷徨うように
嵐の被害にあった街を歩き続けます。

すると、そこに現れたのは不思議な少女。
手にはたくさんのひもが。
そのひもの先には、
なんと、本がパタパタと羽ばたいています。

その姿に唖然とするモリス。

モリスは自分にも本をはばたかせることが出来るのか
挑戦をしますが、見事に落下してしまいます。

すると、今度はモリスの近くにもふわりと本がやってきて、
ある場所へと導かれます。

そこはお屋敷。
しかも、本がたくさん置かれているお屋敷。
モリスにとっては夢のような空間です。

そこで、モリスは生きているかのように動く不思議な本たちと
読んで、感じたことや考えたことを記録して、書き連ねて
夢のような生活を送ります。

そして、1冊の本が出来上がりました。

その時のモリスはすでに時が過ぎ、おじいさんとなっていました。

そして、その本と引き換えにモリスはこの家を出ていくことを決意します。

悲しむ本たちを前に、最後まで穏やかに挨拶をするモリス。

元の世界へとモリスは戻ります。

すると、不思議なことにモリスは
あの少女と出会った幼い少年へと若返り
元の生活へと戻ったのです。

では、モリスのいなくなった本だらけの家はどうなったのか。

少女が訪れていました。
少女は楽しそうに本を読んでいます。

この少女はモリスと出会った少女なのか、
それともモリスの次に選ばれた少女なのか。
答えはありません。

ただ、モリスの本は前は羽ばたけなかった。
でも、モリスが去ったあと、生き生きと飛び立てるようになりました。
いのちが吹き込まれたかのように。



読み終わったあと、不思議な感覚になります。
結末がはっきりしないのに、
なのに、大切な何かを受け取ったような思いがします。

それは、単なる本の大切さ。
それだけではないような気がします。

生きる中で、話すこと、書くこと、書き残すこと。
たくさんありますが、それが次の世代、その次の世代へとつながる
大切なツールなんだと改めて考えさせられました。

私は、200年は生きられない。

でも、本は大切にすれば200年でも300年でも
思いを届け続けることが出来る。

有形な財産として本は重要な役割を果たすのだなと私は思いました。

もちろん読み聞かせた子どもたちは
そこまで深くは考えないと思います。

でも、不思議な本たちとモリスの生き方、
そして最後に若返る驚きは
52ページという長めの絵本でも
飽きることなく聞いてくれることと思います。

そして私と同じように、
この絵本を次の世代へとつなげてくれた時に
新たな発見をしてくれると嬉しいなと思います。

温かな素敵な絵本をありがとうございました。