2018年10月12日金曜日

【建物だって生きている】おおきな やかたの ものがたり(PHP研究所)【住人の幸せは一つじゃないね】

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おおきな やかたの ものがたり(PHP研究所)



さく・え:青山 邦彦

定価 130円(税別) 

全32ページ

読み聞かせおすすめ度  ☆☆☆☆☆
読みごたえ度      ☆☆☆☆☆
絵(写真)のかわいらしさ ☆☆☆☆☆
子どもと一緒に楽しめる度 ☆☆☆☆☆

実際に読み聞かせした夫か私の評価【満点:☆5つ】

読むのにかかった時間 20分程度


~読み聞かせの感想~
主人公は館。
やかたの目線からのお話です。

中世の時代に建てられた館。
それはもう立派できらびやかで
誰もがうらやむ素敵な建物でした。

しかしこの館の主もいずれはこの世からいなくなります。

そして、誰も住まないひっそりとした館になってしまいます。

人が住まない建物は劣化するとよく言いますが、
この館も荒れ果て、だれも見向きをしなくなります。

それでも、時代の変化とともに、
この荒れた建物をきれいにして
住みたいと思う出会いが生まれます。

そして、今までの住まいとは違った形での
館の活躍がそこには描かれます。

人が住んでは、人が離れ、
人が住んでは、人が離れ、

そのたびに館自身は一喜一憂し、
自分が活躍できることを願うのです。


ところが時代は戦乱の世。
館もこれだけ大きければ被害は免れません。

焼け、壊れ、ボロボロになり
とうとうこの館に住む人はいなくなってしまいました。

そして荒れ果てた建物を放置すれば、
よくない輩の拠点となってしまいます。
不良グループが無断で住みつき
悪さを続けます。

館はそんな自分がむなしく切なく感じます。

そして少年グループは逮捕されてしまいました。

されに落ち込む館。

そこに女性がこの館を買いたいと現れるのです。
こんなボロで悪さをする少年が集まる館をどうすると?

すると女性は逮捕された少年や
幼い少年少女をここに住まわせました。

しかもただ住まわせるのではなく、
子どもたちが自分の手で
この館をどうするか考え
修理し、新たな住まいへと変貌させたのです。

その館の姿はお世辞にもカッコいいものではありません。

しかし、そこに住む人はみんな笑顔。
幸せそうな表情をしています。

そして、館もその姿を見て
これはこれで幸せだと嬉しく思うのでした。



青山さんは建築家で建物の専門家。
だから建物の緻密さは文句のつけようがありません。
でも、この絵本はそれだけではなく
描かれた一人一人の人物が素晴らしい。

生きている。
その温かみを実感できる絵本です。

同じ家でも住む人によって家が変わる。

それを時間の経過とともに
見せてくれるこの絵本は
大人でも楽しむことができました。

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