2018年12月3日月曜日

【2012年アカデミー賞短編アニメーション受賞作】モリス・レスモアとふしぎな空とぶ本(徳間書店)【本と生きる】

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モリス・レスモアとふしぎな空とぶ本(徳間書店)



さく:ウィリアム・ジョイス
やく:おびかゆうこ

定価 1500円(税別) 

全56ページ

読み聞かせおすすめ度  ☆☆☆☆☆
読みごたえ度      ☆☆☆☆☆
絵(写真)のかわいらしさ ☆☆☆☆☆
子どもと一緒に楽しめる度 ☆☆☆☆

実際に読み聞かせした夫か私の評価【満点:☆5つ】

読むのにかかった時間 15分程度


~読み聞かせの感想~
表紙をみると、ホラーテイストなお話?!

そんな風に思ってページをめくると
ちょっと違う寂しげな物語のスタートに
一瞬拍子抜けをしてしまいます。

この絵本の中で起こることは摩訶不思議。

でも、読み終わったときに
「書くこと」
「記録を残すこと」
「本を作ること」
の意味を改めて考えさせられる絵本でした。


物語は本の大好きな少年モリスが主人公です。

モリスは本が大好きで、読むことはもちろん
書くこと、そして将来は図書館で働きたいと願う
希望に満ちた少年でした。

しかし、人生には物語と同じように
予期しないことが起こるようで、
自宅が嵐に巻き込まれ、
家はめちゃくちゃ。
大切な本や書き溜めた原稿すら
一瞬で失ってしまいます。

失意のどん底のモリス。
行くあてもなく、彷徨うように
嵐の被害にあった街を歩き続けます。

すると、そこに現れたのは不思議な少女。
手にはたくさんのひもが。
そのひもの先には、
なんと、本がパタパタと羽ばたいています。

その姿に唖然とするモリス。

モリスは自分にも本をはばたかせることが出来るのか
挑戦をしますが、見事に落下してしまいます。

すると、今度はモリスの近くにもふわりと本がやってきて、
ある場所へと導かれます。

そこはお屋敷。
しかも、本がたくさん置かれているお屋敷。
モリスにとっては夢のような空間です。

そこで、モリスは生きているかのように動く不思議な本たちと
読んで、感じたことや考えたことを記録して、書き連ねて
夢のような生活を送ります。

そして、1冊の本が出来上がりました。

その時のモリスはすでに時が過ぎ、おじいさんとなっていました。

そして、その本と引き換えにモリスはこの家を出ていくことを決意します。

悲しむ本たちを前に、最後まで穏やかに挨拶をするモリス。

元の世界へとモリスは戻ります。

すると、不思議なことにモリスは
あの少女と出会った幼い少年へと若返り
元の生活へと戻ったのです。

では、モリスのいなくなった本だらけの家はどうなったのか。

少女が訪れていました。
少女は楽しそうに本を読んでいます。

この少女はモリスと出会った少女なのか、
それともモリスの次に選ばれた少女なのか。
答えはありません。

ただ、モリスの本は前は羽ばたけなかった。
でも、モリスが去ったあと、生き生きと飛び立てるようになりました。
いのちが吹き込まれたかのように。



読み終わったあと、不思議な感覚になります。
結末がはっきりしないのに、
なのに、大切な何かを受け取ったような思いがします。

それは、単なる本の大切さ。
それだけではないような気がします。

生きる中で、話すこと、書くこと、書き残すこと。
たくさんありますが、それが次の世代、その次の世代へとつながる
大切なツールなんだと改めて考えさせられました。

私は、200年は生きられない。

でも、本は大切にすれば200年でも300年でも
思いを届け続けることが出来る。

有形な財産として本は重要な役割を果たすのだなと私は思いました。

もちろん読み聞かせた子どもたちは
そこまで深くは考えないと思います。

でも、不思議な本たちとモリスの生き方、
そして最後に若返る驚きは
52ページという長めの絵本でも
飽きることなく聞いてくれることと思います。

そして私と同じように、
この絵本を次の世代へとつなげてくれた時に
新たな発見をしてくれると嬉しいなと思います。

温かな素敵な絵本をありがとうございました。

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